栽培のコツ

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土のこと

土を知ろう
健康な野菜の根っこは土の中で、目いっぱい根を伸ばし、水を吸い、呼吸をしています。つまり野菜の根っこが、土の中でこのような状態になれるようにしてあげられれば良いわけで、そのような「土」が、野菜作りに適した「良い土である」と、言えそうです。根っこにとって「やさしい」土の条件には・・・以下のようなものが挙げられるでしょう。

  1. 水はけが良い
  2. 通気性が良い
  3. 保水性が良い
  4. 酸度が適正
  5. 肥料分に富む
  6. 病原菌や害虫がいない

土の構造

土には「粘土」や「砂」のように細かい粒子がひしめき合っている状態の「単粒構造」というものがあります。とても目が詰まった状態ですから、「水はけ」「通気」「保水」が悪いのは感覚的にお分かりいただけると思います。

実際に・・・畑の土を水で湿らせて握ってみてください。固まらず、すぐに崩れてしまうようなら「砂質」、指でつついても崩れず、跡が残るようなら「粘土質」の傾向が強く、「良い土」とは言えません。改良が必要になります。

握ったときには崩れず、つつくとほぐれるような状態が土質としてはよく、「団粒構造」と呼ばれています。これは「有機物」などが土と一体となって塊を形成した状態で、塊の形状や大きさが「まちまち」であるが故に隙間が形成され、通気性や水はけ、保水性に優れ、肥料分に富んでいます。野菜を作る際の目指すべき土質と言えるでしょう。畑では「堆肥」や「腐葉土」等を土に漉き込んで土壌を改良していきます。

土壌酸度

ひとむかし前に騒がれた言葉ですが、みなさんも「酸性雨」をご存知かと思います。その名の通り雨は「酸性」です。雨に晒されている「土」も当然、酸性だったりします!ところがお野菜は酸性を嫌うものが少なくありません。というか、ほとんどのお野菜は「酸性」が嫌いです。なので・・・中和・・・という作業が必要になってきます。これに用いるのが「苦土石灰」です。

土壌消毒

みなさんは、「センチュウ」という虫をご存知でしょうか?体長が1mm程度の小さな虫なのですが、コイツがなかなかの曲者で、農家さんの最も嫌う「敵」だったりします。 

線虫はとても種類が多く、諸説様々ですが2万種~1億種もいると言われています。土の中に生息しており、特に「植物寄生性センチュウ」は植物の栄養を奪うため、農業に大きな被害を与えます。

退治には薬剤を用いたりもしますが、もっともスタンダードなのが、太陽熱消毒です。黒マルチで1か月ほど畑を覆うことで地熱を上げ消毒します。その際に石灰などの反応熱を併用したりします。

まとめ

これらの工程を経て、「良い土」を作り出すのですが、ここまで読んで・・・「もう、うんざり!」と思われている方もいるかもしれません。でも見た目(記述量)ほどに複雑なことはしていません。要は「石灰入れて」「マルチかけて」しばらく「放置して」、「堆肥入れて」よく「耕した」だけですから!

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区画の作り方

連作障害

同じ場所で同じ作物を繰り返し栽培することを連作といいますが、連作をしていると、次第に生育不良となっていきます。この現象を、連作障害といいいます。原因は、土壌・作物によって様々ですが、主に以下のものが挙げられます。

微量元素のバランス崩壊

作物によって必要成分や吸収成分が異ります。同じ作物を連作することで、特定成分だけが欠乏もしくは残留し、バランスが崩れていきます。これによって欠乏症状もしくは過剰症状が発現します。

虫害
特定の作物を好む土壌害虫が連作により定着増加することで、作物が侵されます。前述したセンチュウが代表的。

輪作(ローテーション)

いくつかの異なる作物を同一圃場で作り回すことをいいます。連作障害の全ての原因に対して有効です。栽培する物を選ぶときには、同一種だけでなく近縁の作物を避ける必要があります。例えばトマトの後にピーマンやナス(いずれもナス科)を栽培した場合、共通の土壌病害に侵される可能性があります。

市民農園のような小さな区画においても、下図のようにブロック分けして、ローテーションを組み、4年~5年のサイクルで1周するように計画することが大切です。

区画の使い方(20㎡区画の例)

下図のように、「科」ごとにブロックを作れば、ローテンションも簡単に組むことができます。
ここでは、青空農園の標準プランである20㎡の区画をどのように使うかの例をご紹介します。

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肥料のこと

お野菜は過保護がお好き

野菜作りで欠くことができないものに肥料があります。自生している野草などは人が手をかけなくても元気?に育ってしまいますが、鑑賞用植物、園芸種、野菜などではそうもいきません。これらは、人間が長年、改良を重ね、食用部分を肥大させたり、花の発色を良くさせたりなど、かなり「いびつな形」でこの世に存在しているからです。要は「過保護」に育てないと、まともに成人できない・・・というイメージでしょうか。まぁ・・・手のかかる子ほど可愛いと申しますし・・・。

肥料の三要素

人間が「ごはん」を食べるように、お野菜も「ごはん」を食べます。動物であれば、エサが無くなれば狩場を移動して対処しますが、歩けない「野菜」では致命的です。そこで 肥料 の出番となります。

野菜は、土中に含まれている養分を水といっしょに根から吸収します。不足すれば成長障害を起こします。
そこで特に土中に不足しがちな、チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を中心に肥料を施します。ここで挙げたものは、おもに「体」をつくるもので、肥料の三要素と呼ばれています。

葉肥とも呼ばれ、主に葉や茎を生育させるのに有効な成分。特に葉物類に効果的。不足すると生育が悪くなり、病気にかかりやすくなります。実物野菜に過剰施肥すると「ツルボケ」となり実がならないことがあります。

実肥とも呼ばれ、実のなる野菜には欠かせない肥料です。不足すると根の生育や実のつきが悪くなります。初期から効かせるように、必ず元肥として施します。

根肥とも呼ばれ、植物の新陳代謝を促して根や葉を丈夫にする。病気に強い体をつくり、暑さや寒さへの抵抗力がつきます。不足すると、葉が黄色くなったり、開花が遅れたりします。

上述したように、チッ素は「葉」、リン酸は「実」、カリウムは「根」に効くことから、それぞれの頭文字をとり・・・

「チリカハミネ」と覚えましょう。

野菜は利用部位の違いで、葉物野菜(葉菜類)、実物野菜(果菜類)、根物野菜(根菜類)という分類があります。「感覚的」な分かりやすい分類方法なので、「チリカハミネ」を覚えていれば簡単に、自信を持って施肥ができますよね。

有機肥料と化学肥料

自然界にあるものを原料にした肥料を有機肥料、天然の鉱石などから化学的に合成した肥料を化学肥料とよんでいます。最近では「オーガニック」という言葉が一人歩きして、化学肥料を敬遠する傾向にありますが、決して悪いものではありません。有機肥料と化学肥料を上手に使い分けて、おいしい野菜をどんどん育てましょう。

[化学肥料]

植物が吸収しやすい状態になっているため即効性があります。追肥など作物の成長過程に応じた施肥に向く肥料と言えるでしょう。以下に主な化学肥料を記します。

化成肥料

チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の配合合計が15~30%のものを普通化成肥料と呼ぶ。

チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の配合合計が30%以上のものを高度化成肥料と呼ぶ。

配合肥料

必要な三要素を硫安や尿素などの単肥同士を混合し調整したもの。有機肥料も併せて混ぜたものなどもある。

緩効性肥料

成分が徐々に溶け出すように加工されたもので、効果が1~2ヵ月持続する。

※成分表示の見かた
化学肥料の袋に「NPK=8:8:8」などと書かれているのを見たことがあるでしょうか?これは、チッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)がどれくらいの割合で入っているのかを示しています。「NPK=8:8:8」の場合、チッ素、リン酸、カリウムが100g中それぞれ8gずつ入っていることを表しています。

[有機肥料]

土中の細菌や虫たちの力を借りて、植物が吸収できる状態になるため、効果が発現するまで時間がかかります。元肥など植え付け前の土づくりの段階で施肥することになります。

魚粉・骨粉

動物の一部または全部を粉砕発酵させたもの。魚粉はチッ素、骨粉はリン酸を多く含む。

油かす

ナタネや大豆から油を搾ったあとのかす。チッ素・リン酸を多く含む。

米ぬか

リン酸を多く含み、除草効果もある。安価。

堆肥

牛・豚・鶏など、家畜のふんや藁などを発酵させたもの。他の有機肥料に比べて栄養が少ないため、肥料として使うというより、土壌改良剤として利用する場合が多い。フカフカでやわらかい土になる。

草木灰

草や木を燃やしたもの。リン酸とカリウムを多く含む。石灰分が多いため酸度調整にも効果がある。

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播種・植付の前に

株間・条間・畝間のこと

野菜に限った話ではありませんが、個体がすくすくと成育するためには最低限の「広さ」が必要になります(個体群密度)。この最低限の「広さ」が確保できていないと、成育不良を起こしたり、病気にかかりやすくなってしまいます。お野菜の場合は「収穫期」の大きさを意識して株間を決めていけばいいでしょう。

トマトやナスなどの大きく育つ果菜類、キャベツやハクサイなどの大型葉菜類は、1株50cm四方、コマツナやホウレンソウなどの小型葉菜類なら、1株10cm四方程度の広さを確保しましょう。

方位と草丈

太陽は東から昇って、西へ沈むことは常識ですが、その途中は意外と忘れがちだったりします。実は我が日の本、日本では太陽は天頂を通らず、やや南側を通って西へ沈んでいくのです。なので・・・区画の南側に草丈の高いものを植えてしまうと、他の作物は日陰になってしまい、生育に影響が出ることになります。大きくなる野菜は区画の北側に、小ぶりな野菜は南側に配置すると、すべての野菜にまんべんなく日が当たるようになります。

畝に関しても同様の理由から、「西ー東」で作ることで、すべての野菜がまんべんなく日当たりを享受することができます。

水やり

市民農園を始めるに当たって、「毎日、水やりしなければいけませんか?」と質問を受けることが多いのですが、プランター栽培と違って、露地栽培ではあまり神経質にならなくても大丈夫です。露地の保水能力はプランターの比ではありません。あまり無責任なことは申せませんが、週末ファーマーでも十分、市民農園を楽しむことができるでしょう。

基本的な水やりのタイミングは播種・定植直後、作物によっては発芽するまでの1週間程度、日照り続きが気になるときなどでしょうか。あとは1週間に1回程度の散水で十分です。ただし、何もしなくてもいいかというと、そういうことではありません。真夏の日照りは強烈なので、何かで日陰を作ってあげたり、敷き藁などでマルチングを行い保水効果を高めたり、不織布などでトンネルを作り蒸散を防いだり・・・と、季節や作物なりの工夫は必要です。また、砂質の強い農地ではこまめな散水が要求されることがあるかもしれません。土壌改良も農園らいふの楽しみ方のひとつと受け止め、最高のmy区画を作りあげて下さい。

水やりに関して、もう一つ注意すべきことがあります。当然ながら、植物にもライフサイクルが存在します。水やりにもっとも効率が良い時間帯は朝だと言われています。これは光合成が活発化するお昼に向けて十分に水分を吸収しておく必要があるからです。午前中に十分な水分を吸収できなかったときは、必要以上の蒸散を避けるために、植物は気孔の開度を調節してしまいます。蒸散が抑制されてしまうと必然的に水分の吸収は進まなくなります。また、真夏のお昼前後は表土付近の水の温度が上昇するため、いわゆる「やけど」を負ってしまいます。真夏のお昼散水はもっとも避けるべき行為です。もし朝散水ができなかった場合は夕方の散水に切り替えましょう。

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